子ろばに乗って

マタイによる福音書21章1~11節

福音書は、イエス様の生涯について書いてはありますが、30歳になって伝道活動をされた3年間のことが主に書かれています。また、マルコによる福音書では、その3分の1が最後の1週間のエルサレムでの出来事について書かれています。それは、受難の出来事、十字架につけて殺された事と3日目の復活にクローズアップして書かれてあります。

この聖書の個所は、イエス様が、12人の弟子たちエルサレムに近いベトファゲ村に来た時に、「向こうの村に行って、ロバとロバの子を連れて来る様に」2人の弟子に命じます。持ち主にとって大切な家畜で財産ですから、渡してくれるとは思えません。イエス様は、「主がお入り用なのです」と言いなさい、と言われます。持ち主は、その言葉を聞いて弟子たちにロバたちを渡してくれます。自分にとって大切なものだけれども、神様の御用のためにささげる姿が示されています。

エルサレムに入場する時に、イエス様はあえて子ロバに乗って入られました。それは、道端の群衆と同じ目の高さだったと思います。目と目を合わせて向かい合われた、同じ目線に立たれたことが示されています。また、子ロバですから、ヨタヨタとした感じだったかもしれません。しかし、その弱さの中に強さがある、イエス様に見い出されるものは、まさにそれです。無力なようだけども、そこに大いなる神の御力が働かれるのです。十字架にかけられて殺されたけれども、神様の大いなる力によって、復活されたイエス様は、それを表しているのです。このイエス様を、私たちが迎え入れること、それは大いなる力を頂く事になるのです。「『わたしの恵みはあなたに十分である。力は弱さの中でこそ十分に発揮されるのだ』と言われました。だから、キリストの力がわたしの内に宿るように、むしろ大いに喜んで自分の弱さを誇りましょう」(コリントの信徒への手紙二 12章9節)。